犬・猫の尿が出ないとき(特に雄猫|夜間の受診の目安)
トイレに何度も入るのに尿が出ていない、少ししか出ない、苦しそうに鳴く——。
こうした症状は、特に雄猫で命に関わる緊急疾患(尿閉)の可能性があり、
数時間〜半日で危険な状態に進行することがあります。
迷われた場合は「様子を見る」よりも、早めの受診またはお電話でのご相談をおすすめします。
① すぐに受診してほしい危険なサイン(尿閉・雄猫は特に危険)
次のような場合は、一刻を争います。すぐにご連絡ください。
- 夜になってから急に尿が出なくなった
- トイレに何度も行くが空振りが続く
- トイレに何度も入るが、尿がほとんど出ない/まったく出ていない
- 長時間トイレで踏ん張っているが、出ている量がごく少量
- 排尿時に苦しそうに鳴く・怒る・痛がる
- 落ち着かずウロウロしている、あるいは逆にぐったりして動かない
- 食欲がまったくない・嘔吐している
- お腹を触ると嫌がる、急に怒りっぽくなった
- 尿が赤い(血尿)、濁っている
- 雄猫で、明らかに排尿がうまくできていない様子がある
尿がまったく出ない状態(尿閉)が続くと、
腎臓の機能が止まり、体に毒素が溜まり、不整脈や意識低下を起こす危険があります。
「朝まで様子を見よう」は非常に危険です。
② いったん落ち着いて見えても、受診を検討すべきケース
尿が少し出ているように見えても、以下のような場合は注意が必要です。
- トイレに行く回数が明らかに増えている
- 少量ずつしか出ていない(点々とした尿など)
- 長時間トイレにこもっていることが増えた
- 排尿時に鳴く、痛そうにしている
- 尿が濁っている・赤みがある
- 陰部を頻繁になめている
特に雄猫は、完全に詰まる前に「部分的に詰まっている状態」があり、
その時点で適切な処置を行うことで、重症化を防げることがあります。
「今は少し出ているようだけれど、本当に大丈夫か」と不安に感じたら、必ずご相談ください。
③ 受診前に確認しておくとよいこと
診察をスムーズに進めるため、可能であれば次の点を確認しておいてください(すべてでなくて構いません)。
- トイレに行った回数と、おおよその時間帯
- 実際に出ている尿の量のイメージ(普段の何分の1くらいか)
- 排尿にかかる時間(いつもより長い/短いなど)
- 排尿時に鳴く・痛がる様子の有無
- 嘔吐や食欲低下の有無
- 飲水量の変化(増えている・減っている)
- 過去の膀胱炎・尿石症の既往歴
- 普段食べているフード・直近のフード変更の有無
すべて揃っていなくても大丈夫です。
「トイレ回数」と「尿が出ているかどうか」だけでも、重要な手がかりになります。
④ 尿が出ない・出にくいときに考えられる主な原因
- 尿閉(最重症)
結石や粘膜、炎症物質などが尿道に詰まり、完全に塞がれた状態です。
短時間で腎障害や不整脈を引き起こし、命に関わる緊急疾患です。
- 膀胱炎
頻尿や血尿、排尿時の痛みを伴うことがあります。
- 尿石症
結晶や結石が尿道に詰まりやすく、特に雄猫はリスクが高いとされています。
- ストレス性膀胱炎(FIC)
環境の変化やストレスにより排尿異常が起こることがあります。
- 水分不足
尿が濃くなり、結晶や詰まりのリスクが高まることがあります。
いずれの場合も、軽い症状に見える時期があるため油断は禁物です。
「なんとなくおかしい」と感じた時点で、相談していただくのが安全です。
⑤ 夜間に尿が出ない症状を放置するとどうなるか
尿閉が続くと、体の中で次のようなことが起こります。
- 血液中のカリウムが急上昇し、不整脈〜心停止の危険
- 腎臓の急激な機能低下
- 嘔吐、低体温、ぐったりするなど全身状態の悪化
早い場合は数時間〜半日ほどで命に関わる状態に進行することがあります。
尿閉は夜間救急として、もっとも早く対応したい症状の一つです。
⑥ 迷ったときは、まずはお電話でご相談ください
「今すぐ受診したほうがいいのか」「朝まで待てるのか」「どれくらい危険なのか」——。
こうした不安があるときは、まずはお電話でご相談ください。
- トイレの回数や様子
- 実際に出ている尿の量のイメージ
- 動画や写真(可能であれば)
これらの情報をもとに、緊急度の目安や受診の必要性について、できる限りわかりやすくお伝えします。
※ 本ページは、夜間救急に従事する獣医師の臨床経験をもとに作成しています。
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夜間の受診に備えて、あわせてご確認ください。
排尿トラブルは、嘔吐や呼吸が苦しいなど全身状態の悪化を伴うことがあります。